障がい者の自立支援を失墜させる
省庁・自治体の障害者雇用水増し問題
秋も深まり朝夕はめっきり冷え込むようになりましたが、会員の皆様お健やかにお過ごしのことと存じます。
今年8月、中央省庁全体で合わせて3,460人に上る障害者雇用の水増しがあったことが発覚。水増しは実に42年間にもわたっており、率先して障害者雇用に取り組むべき立場にある中央省庁や自治体が、その雇用者数の割合を水増ししていた。障害者雇用促進法では行政機関・民間企業に対し一定割合以上の障がい者を雇うよう義務付けられている。その雇用率が行政機関は2.5%(今年3月末までは2.3%)、民間企業では2.2%(同2.0%)と定められ、雇用対象者は原則、身体障害者手帳などを持つ人としている。
しかし、多くの行政機関は、障害者手帳の交付のない軽度の人など対象外のケースを雇用数に含めていた。国の行政機関の雇用率は昨年6月で2.49%と公表されていたが、実際は1.19%と法定雇用率を大きく下回っていたという。さらに、一定以上の規模の企業は法定雇用率を満たさない場合、不足人数1人あたり月5万円の納付金が課されるが行政機関は反則金がない。
障がい者の自立支援政策を掲げ障害者雇用の促進を民間企業に働きかけている省庁が、障がい者軽視ともとられる無神経な対応をしていたことに、様々な困難を乗り越え自立に向け努力をし就労を目指している障がいのある人たちに対し答えることができるのでしょうか。短時間勤務等、様々な勤務体制や場所、仕事内容を柔軟に考え、もっと幅広く障がいがある人を受け入れる職場環境を整えていくことが求められます。