ご挨拶

盛岡市手をつなぐ育成会会長 長葭常紀

 盛岡市手をつなぐ育成会が、昭和29年に結成されて以来、精神薄弱者を守る会から知的障害者を守る会、そして現在の手をつなぐ育成会と時代の変革の流れの中で名称を変えつつ知的障がい児者の社会参加と住み慣れた地域社会で豊かに暮らして行かれることを目標に、時々の課題と取り組みながら会員が一体となり手を携えながら歩み、ここに設立60周年を迎えることができましたことを、会員の皆様と共に心から慶びたいと存じます。 昨年11月に開催いたしました記念式典、記念講演会並びに記念誌発刊に際しましては、岩手県知事、盛岡市長を始め、日頃、本会のためにご支援くださっている多くの方々から、ご祝辞と激励の言葉を賜り、心から御礼申し上げます。そしてこの60周年記念誌に寄稿していただいた方々や、編集委員の皆様に、厚く感謝申し上げます。

 振り返ってみますと本会の設立は昭和29年3月10日に遡りますが、当時の仁王小学校長故佐藤正忠先生のご指導により、先生と特殊学級に通う障がい児を持つ母親3名から広がり市内の特殊学級の児童生徒の保護者に声掛けをしまして約30名程度で結成されたと先輩方から伺っております。以来、60年にわたり絶えることなく障がいのある人たちの幸せを願い営々と活動を続けてまいりました。

 盛岡市総合福祉センターが建設され本会事務局が独立するまでは、市内の主だった小学校が事務局を持ち回りで担当して下り、平成18年までは盛岡市内のすべての特殊学級・養護学校(現特別支援学級・支援学校)の児童生徒の保護者が会員という、全国にもまれにみる組織体系でありましたが、平成19年の前執行部の組織変革により体系が崩れ、私が会長に就任後は会の立て直しに明け暮れた7年でありました。

 この間にも、多くの先輩の方々からの助言、会員の熱心な活動と行政機関や関係団体に支えられ、55周年の時には総合生活支援ノート「つなぎて」という名の子どもたちの未来につなげる手帳を500部発刊・配布できましたことは多くの関係者のお陰であります。

 特にも盛岡市社会福祉協議会様には、事務局、会場、喫茶さわらびの場所の提供、各事業への助成など、厚いご支援をいただき心より御礼申し上げます。 本会のこの60周年の節目に、これまで歩んできた道を振り返り、過去の歴史を心に刻みながらもこれからの活動のあり方を考えていく必要があります。現在、企画・研修・推進・広報・生活支援・喫茶さわらびの各委員会活動をとおして会員の交流と情報発信、本人活動として文化、スポーツ活動も活発に行われていますが、これからの社会の流れや福祉の変化についての情報を素早くキャッチし予見しながら、会員一同力を合わせて更なる活動を進めていきたいと思います。

 一方、盛岡市においては、当会が盛岡市議会に請願し一昨年盛岡市自立支援協議会が発足しました。その中に発達障がい者支援プロジェクトチームと高齢化対策プロジェクトチームが設置され、それぞれ直面する個別課題の解決に向け月1回ペースで集まり、報告書をまとめ親会に提言するという具体的な動きをスタートしております。当会からは、障がいのある人たちが地域で安心安全に暮らしていくための24時間365日対応の地域生活支援拠点の整備を提言しております。実現に向けては、会員の皆様から様々お声をいただき、プロジェクトに反映させて行かなければならないと思っております。

 外部環境としましては、岩手県においては平成22年に「障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県条例」が制定され、国においても平成23年「障害者虐待防止法」、平成25年「障害者差別解消法」が成立、国連の「障害者の権利に関する条約」にもやっと平成26年1月20日に批准しました。これにより日本において、あらゆる分野で障がい者の権利の実現に向けた取り組みが強化され、人権尊重が一層推進されると期待するものです。

 結びに、設立50周年からこの10年の間には障害者自立支援法から障害者総合支援法と障がい者を取り巻く環境がまさに激変した変動の時代といってよい10年でありました。その中にあって、変わらずご指導ご支援を下さっっている岩手県、盛岡市、盛岡市教育委員会、盛岡市社会福祉協議会、盛岡市特別支援教育研究会、関係各団体、賛助会員の皆様に心から感謝申し上げますとともに、次の10年に向けて会の発展のために努力して参りますので、今後ともご支援賜りますようお願い申し上げましてご挨拶といたします。