ご挨拶

令和8年3月
会長 長葭 常紀

 会員の皆様には健やかにお過ごしのことと拝察申し上げます。今冬は雪も多く寒さも厳しかったこともあって春の訪れをことのほか待ち焦がれましたが、その中でも年が明けてからボッチャやボウリングなど楽しい本人活動を開催してきました。関係者の皆様に感謝しております。

 最近の岩手日報に、軽度知的障がいの男性が警視庁で任意の取り調べを受けた際に弁護士が同席したという記事が載っていました。警察は知的障がい者であっても原則として保護者や弁護士の同席を認めていませんが、警察で任意の取り調べを受けた時に相談を受けた弁護士は、行政機関に合理的配慮を義務付けた障害者差別解消法に基づき警視庁に立会いを要請しました。一度は拒否されましたが交渉を経て許可を得て同席を続け、不起訴になったとのことです。日弁連はこの事例をモデルとし、虚偽自白のリスクが高いとされる「供述弱者」の立ち会い拡大に向けた活動を進めており、子供たちのために覚えておきたい事例です。

 今年の2月12日、法制審議会は成年後見制度の改正要綱案を法務大臣に答申しました。育成会でも要望していた判断能力が不十分な障がい者や高齢者を支援する成年後見制度を、より柔軟で利用しやすいものにするための大きな見直しです。 内容は

・「後見」「保佐」「補助」の3類型があった現行制度から、「補助」に一本化
・遺産分割や不動産処分などの特定の行為に、必要な範囲に限定して支援することも可能
・本人の判断能力が回復したり、他の支援策で対応可能になったりした場合に終了できる
・「本人の利益」のために必要と判断された場合は解任できる

 今後この答申案に基づいて法改正に向けて国会などで議論されていきますが、後見人を変更できるのは、大きな前進です。特に会員の要望も多かった財産管理中心(弁護士等)から身上保護中心(社会福祉士等)への変更が可能となるなど選択が広がります。一方で、成年後見制度の改正答申案では、契約期間終了後に知的障がい者が一人で再契約をすることが難しいという課題があると思います。この点が盛り込まれる必要があると考えていますが今後注視してまいりましょう。